茨城県桜川市にて、稲田石の乱積み(土留め石積み)工事

ホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。採掘元である茨城県より、稲田石のお墓や石材を、オーダー制作にて全国の石材店様へお届けしております、株式会社堀石材工業の堀です。今回は、茨城県桜川市にて、稲田石の乱積み(土留め石積み)工事をさせていただきましたのでご紹介いたします。

 

茨城県桜川市 稲田石での土留め乱積み

 

桜川市内で、住宅の土留めを稲田石で施工させていただきました。もともとは土の法面に芝を貼って土留めをされていましたが、お宅の門柱を挟んだ反対側はすでに石積みで土留めされていて、同じように乱積みで土留めをしたいとご希望でした。ちょうど退職されたタイミングで、「今自分がやっておかないと、子どもたちはできないだろうから」とご依頼くださったそうです。石積みの方法については、地元の稲田石を使い、目地なしで積みたいと石積みの具体的なご希望もありました。

 

仕上がった乱積みです。「乱積み」は石積みの方法のひとつです。一般的には、四角く切った間知石などを積み上げていきますが、「乱積み」は自然の石の形に合わせて積んでいく方法です。そのため、ひとつとして同じ形の石がありません。

 

現地にランダムな石を持ち込み、職人が全体のイメージを作りながら積んでいきます。まさに職人技と言える積み方で、職人の腕や芸術性が不可欠です。目地をどんなふうに持っていくのかなども含め、一番下の石を積みながらも一番上の仕上がりを描きながら積んでいきます。

 

上に見えている樹木があるあたりから、以前はなだらかに法面があった場所に石積みをしたことで、上部の平面は広くなっています。石積みの後ろ側には「裏込め」といって、石を積んだ後にコンクリートで壁を作っています。石とコンクリートが一体化することで、土留めの役割を果たしています。

 

積み方としては、一段目を端まですべて積んでから、その上に二段目を積んでいきます。石を据えて座りの状態を見て、不具合があれば一面ずつコヤスケという道具でその場で加工し、積み上げていきます。機械は使わず完全に手加工での作業でした。

また、実はこの石積みは高いところで2mほどあり、ひとつひとつの石がとても大きく重量もかなりあります。大きいものでは重さも600~700kgほどあるため、石を据える際はクレーンで吊り上げて設置していきます。約70㎡、40畳ほどの広さを仕上げるのに、石を積む職人と裏込めを担当する職人、石を吊り上げる職人など、3~4名のチームで丸二か月かけて仕上げました。

 

稲田石は、硬さがあるため耐久性もとても高く、石積みの石材としての適性は申し分ありません。また、その白く美しい見た目からも、石積みの美しさがより際立っています。地元の石である稲田石のそうした良さを十分に分かって下さって、「ぜひ稲田石で」とご希望くださったお客様でした。

石積みの手前の砂利石も、稲田石の錆色の部分を10ミリ以内に細かくして化粧砂利としたものを敷いています。当社で「pico」と名付けた砂利で、住宅のお庭やお寺様などによく使っていただいている人気の砂利です。同じ石材なので統一感のある仕上がりになり、雨で濡れると砂利の赤みが少し強くなるのでまた違ったコントラストを楽しむことができます。

 

お客様からは、「本当によくできてる!イメージ通りだった」とお褒めいただきました。お散歩で通りかかって立ち止まって見ている方や、車で一瞬速度を緩めて見ていく方もおられたそうで、「やってよかった!」と喜んでいただくことができました。これからご自慢のひとつになれれば、とても光栄に思います。このたびは当社に石積み工事をお任せいただきまして、ありがとうございました。

住宅事情などから、石積みの仕事は昔に比べると少なくなってきていますが、稲田石の採掘や加工等を手掛けている当社にとって、今回のように稲田石の良さを余すことなく出すことのできるお仕事をさせていただけたことは、本当にありがたいことです。石積みの優れた技術を持つ職人も現役で色々な仕事をしていますので、この技術をこれからも残していくためにも、今後も精力的に取り組んでいきたいと考えています。ご興味のある方は、ぜひお声かけくださいませ。